恋してたら、息ができる――

NOVEL LOVE STORY

□忘れた恋のはじめ方□

忘れた恋のはじめ方 23-2

 海外に行く決心をした晶は裕史に会うことなく準備を進め、そんな裕史も晶の気持ちに気づいたのか連絡をとらないまま、晶が旅立つ日まで1週間を切っていた。

 そして晶は英介に話をするためふたりだけで会っていた。

「なんとなく田所から話は聞いてたから」

「そうですか」

 晶は微笑んだ。

「実は今でもまだ実感がわかなくて」

「そうだろうな。でも、それだけ晶の実力が認められたってことだからもっと自信持てよ」

「はい。…新堂さん」

「ん?」

「今まで本当にありがとうございました」

 そう言いながら晶が微笑み軽く頭を下げようとした時、英介は晶の腕を引き寄せ抱きしめたのだった。

「晶」

「はい」

「晶が元気でいてくれるなら俺も元気でいられる。晶が幸せでいてくれたら俺も幸せでいられる。だから絶対に幸せになれよ」

「はい」

 そんな晶は心の中で「さようなら」と静かに別れを告げるのだった。

 海外に出発する日の前日の夜、晶の携帯がなり、着信相手を確認すると裕史からだった。

「もしもし」

「久しぶり」

「うん」

「明日、だよな?」

「うん、そうだね」

「ゴメン。仕事で見送りにいけないけど」

「わかってる。大丈夫」

「ねー」

「ん?」

「私の新作が発売されたら、その日のうちに買って食べてくれる?」

「あぁ。もちろん」

「よかった」

 晶もそして裕史も「会いたい」という思いを必死に抑え込みながら話をしていることにお互いに気づき何も言葉が出なくなっていた。

「…あのさ」

「ん? 何?」

 「会いたい」そう言ってくれればすぐにでも会いに行く― 晶はそう思っていた。

「…いや、なんでもない」

「そっか。じゃーそろそろ切るね」

「あぁ。…晶」

「ん?」

「がんばれ。応援してるから」

「ありがとう。がんばってくる。じゃーね」

 晶は裕史から「さようなら」と言われることがこわくなり自分から携帯を切り、そのまま晶は号泣し、裕史の目からも涙がこぼれ落ちていくのだった。

 翌日、空港行きのタクシーに乗った晶は、運転手の人に「B.C. square TOKYO」のビルの前を通ってほしいと頼み、ビルを見上げながら「いってきます」と心の中で何度もつぶやくのだった。

 誰にも見送られたくない晶だったが、空港に到着すると、そこになぜか警備員である田中の姿があった。

「田中さん」

 なぜ田中がここにいるのか晶は驚くのだった。
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