恋してたら、息ができる――

NOVEL LOVE STORY

□忘れた恋のはじめ方□

忘れた恋のはじめ方 22-4

 自分が応募したコンテストに裕史が関わっていたことを知らされた晶は田所に連絡をとり問いただしていた。

「すみません。知っていました」

「そうだったのね」

「でもこれだけは言わせてください」

「何?」

「裕史さんなりに晶さんのことを助けたいと思ったはずです。だって好きな人が苦しんでたらほっておけない、晶さんだって同じだったでしょ。裕史さんが苦しんでるときほっておけなかった。お互いにそれだけ思いあってるってことですよ」

「ねー、田所」

「何ですか?」

 晶が表情を変えずに話をするため田所はドキドキしていた。

「大人になったね」

「…え?」

 予想外の言葉が晶の口から出てきたため田所は驚いていた。

「もう私の下で働いてる田所とは別人だね。ちょっとさびしいな」

 そう言いながら晶が優しく微笑み、田所はホッとしていた。

「晶さん、何言ってるんですか」

「でも…私、今回の件、断ろうと思ってるの」

 それは晶にとって苦渋の決断であり、田所は裕史に連絡を入れ、すぐに会社にいる裕史の元を訪れていた。

「どうした?」

「晶さん、今回のコンテストの件、断ろうとしています」

「…そっか」

 田所はまるで晶がそういう決断をすることを裕史が悟っていたことに少し驚いていた。

「…え? まさか他に何かあるんですか?」

 裕史からなぜ晶が断ろうとしているのか、理由を聞かされた田所は驚くのだった。

「それ…本当なんですか?」

「あぁ。先方から直接連絡があった」

「そうなんですね」

 それは晶が裕史の部屋に泊った次の日の朝、裕史の元にかかってきた電話のことだった。

「はい、深沢です。はい、はい、…え?」

 それは海外の本店のオーナーがフレンツの早瀬晶の応募作品だと知った瞬間、デザインを見てすぐ晶の作品を絶賛し、本店がある海外でパティシエとして働いてほしいことを説得してほしいという内容だったのだ。

「裕史さん、どうするつもりですか?」

 裕史は何も答えなかったが、すでに裕史の中で答えを出していることに気づいた田所は何も言わずそのまま部屋から出ていき、裕史は目にうっすら涙を浮かべ、その1時間後、裕史は先方に連絡をいれるのだった。

 翌日、晶の元に店長から連絡が入っていた。

「…え? それどういうことですか?」

 裕史から自分のことをよろしくお願いしますという連絡がすでに入っていることを聞かされた晶は唖然とし、急いでB.C. square TOKYOビルへ向かうと裕史の携帯を鳴らしたが出なかったため、田所に連絡をとり、1Fのロビーで待っていると、そこに現れたのは田所だった。

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