恋してたら、息ができる――

NOVEL LOVE STORY

□忘れた恋のはじめ方□

忘れた恋のはじめ方 22-3

 久しぶりに会うことになった裕史と晶は店を後にして、ふたりの思い出の場所でもある東京タワーの近くに来ていた。

「いつから会っていないんだっけ?」

「あなたの部屋に泊った翌日が最後かな」

「そっか」

 ふたりは微笑みあった。

「あ、おめでとう」

「ん?」

「社長に戻ったって聞いたから」

「ありがとう。実は…会ったら話そうと思ってたことがあって」

「ん? 何?」

「父さんと父と息子として話すことができた」

「そうなんだ」

 それ以上、何も聞いてこようとしない晶だったが、そんな晶だからこそ本気で心から愛した女性だと改めて感じた裕史はそっと晶の腕を引き寄せ抱きしめ、裕史は晶を自分の部屋に連れて帰り、再びふたりは体を重ね合わせ、寄り添いあいながら眠りについたのだった。

 翌朝、裕史は自分の携帯の音で目を覚まし、ぐっすり眠っている晶を起こさないようにベッドから起き上がり、携帯を持って歩いていった。

「はい、深沢です。はい、はい。…え?」

 相手からの電話を切った後、裕史は晶の元へ戻っていき、そっと座ると晶の寝顔をそのまま見続けるのだった。

 そして晶が目を覚ました時、裕史の姿が近くにないため、ベッドから起き上がり歩いていくとテーブルの上にメモが残されていた。

「仕事の連絡が入ったので会社に行きます。裕史」

 そのメモを見ながら社長だから仕方がないかと思い晶は幸せそうに微笑むのだった。

 数週間後、応募した作品の結果発表の日を迎えた晶は玲子と一緒にいた。

「大丈夫?」

「う、うん」

 晶の声は緊張からなのか少し震え、その時、携帯がなり、晶は「ふぅ」と大きく息を吐いてから電話にでた。

「はい、早瀬です。はい、はい。…え?」

 晶が驚いた表情を見せた。

「わかりました。はい、失礼します」

 携帯を切った晶は呆然としていた。

「晶、どうしたの? ねー、晶」

「…え? あ、うん」

「どうだった? …え?」

 晶の声が小声だったため玲子は聞き取れずにいた。

「何て言ったの?」

「…受かった」

「えぇ!? それ本当なの!?」

 玲子は驚いていた。

「う、うん」

「やったじゃん!!! 晶、おめでとう!!!」

 そう言いながら玲子は目にうっすら涙をため晶を抱きしめるのだった。

 1時間後、晶はコンテストを行った店を訪れ、店長と話をしていた。

「あの…実はフレンツで働いていたことがありまして」

「ですよね」

「…え?」

「フレンツの早瀬晶さんですよね?」

「ご存じでしたか?」

「えぇ。たしかそう伺っていたので」

「…え?」

 晶は店長が言っている意味がまったく理解できずにいた。

「あの…ちょっと待ってください。伺っていたってどういうことですか?」

「…え? あれ? 今、私、そう言いました?」

 店長はあわてた様子を見せた。

「どういうことなのか説明していただけますか?」

 そして店長から聞かされた話から、裕史が関わっていたことを晶ははじめて知るのだった。
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